エピローグ

世界の真ん中を歩く

かつての僕らの瞳には光が在った。

それはもう、少女向け雑誌の表紙にいるキャラクターのように。その光り方は誰一人として同じではなくて、未熟な僕たちは、みんなそれぞれの輝きをもっていた。その瞳の光のせいで白飛びしたり、黒く潰れて見えなかった景色があった。見える景色だけを見ることで見えた、歪んだ世界があった。君の見ている世界は、僕の見ている世界と全然違ったし、なんで違うのかわからなかった。僕らはその歪んだ世界で、たくさん間違えた。気づいた時には大切なものを取りこぼしていた。僕らは、大人になりたかった。

 

大人になるということ、それは瞳の光を徐々に失うこと。

見えないものを見ようとして、そしたら見たくないものも見えてきて。少しずつ透き通っていく僕らの眼球は、やがて景色のすべてを見ることができるようになる。歪んだ世界は秩序ある世界に。友達と喧嘩することも少なくなった。自分のせいで自分を責め、自分ひとりで反省することも増えた。空が、昔よりもきれいに見えるようになった。

 

綺麗に澄んだ、なんにもない僕らの眼。