エピローグ

世界の真ん中を歩く

記憶の話

「この街では、春になっても少し雪が残っているんだ。そこは例えばバス停の建物の近くとか、歩道沿いのちょっとした土肌とか。ほんの少しの日蔭になっているから、暫く残る。他の多くの雪がとっくに解けてしまっていても。

 

 暖かくなったとしても、とても寒い冬があったことを忘れさせない。それでも、春も終わりに差し掛かれば、流石に消えて無くなるんだけどね。」

 

「何の話かって?」